カテゴリー

#08 蚤の市で働いてみた

蚤の市で働いてみたら、いろんな人を目撃した。

目撃⚫︎震える小型犬とおじいさん

毎日店の前を通るおじいさんと、連れの小型犬。

おじいさんは杖をついていて、ものすごく遅い。犬もペースを合わせて歩いている。店から二軒ほど行った先の木におじいさんは掴まって休憩する。そこからあまりすぐには動かない。

時間が経ったあと、「うぉぉぉ!」とおじいさんの叫び声が聞こえる。

そちらの方を見ると、小型犬をもう頭に乗せている。頭に乗っている小型犬はプルプル震えている。

おじいさんはそのまま歩き出す。という謎の光景が数日おきに繰り返された。

いつか小型犬とおじいさん、どちらがどうやって乗っているのか。絶対にその瞬間を見てみたいと思っていたけれど、木に掴まって休憩をしている時間が長いので、一度も見ることができなかった。

もちろん、そのまま歩いて行く彼らに釘付けだったけれど、通りを歩いている人々も相当、釘付けだった。

正直、犬もおじいさんもプルプルしていておかしかった。けれど二人とも満足していると思う。

あのおじいさんが自分の頭に、小型犬を無理やり乗せるのは不可能で、おそらく犬が自ら乗らないと、あの状態にはならないと思われる。

他人には理解できない、二人のルーティーンなのだろうと思う。

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。