蚤の市で働いてみたら、いろんな人を目撃した。
目撃⚫︎震える小型犬とおじいさん
毎日店の前を通るおじいさんと、連れの小型犬。
おじいさんは杖をついていて、ものすごく遅い。犬もペースを合わせて歩いている。店から二軒ほど行った先の木におじいさんは掴まって休憩する。そこからあまりすぐには動かない。
時間が経ったあと、「うぉぉぉ!」とおじいさんの叫び声が聞こえる。
そちらの方を見ると、小型犬をもう頭に乗せている。頭に乗っている小型犬はプルプル震えている。
おじいさんはそのまま歩き出す。という謎の光景が数日おきに繰り返された。
いつか小型犬とおじいさん、どちらがどうやって乗っているのか。絶対にその瞬間を見てみたいと思っていたけれど、木に掴まって休憩をしている時間が長いので、一度も見ることができなかった。
もちろん、そのまま歩いて行く彼らに釘付けだったけれど、通りを歩いている人々も相当、釘付けだった。
正直、犬もおじいさんもプルプルしていておかしかった。けれど二人とも満足していると思う。
あのおじいさんが自分の頭に、小型犬を無理やり乗せるのは不可能で、おそらく犬が自ら乗らないと、あの状態にはならないと思われる。
他人には理解できない、二人のルーティーンなのだろうと思う。
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