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#05 ロンドン

ロンドンの地下鉄でいう、セントラルラインを真横にひたすら歩いたことがある。

確か何かの目的があってセントラルラインでどこかに行った帰り、一部の人と別れてナチョと一緒に歩けるところまで歩くことにしたのだったと思う。

ナチョは探検好きで「もうそろそろ電車乗ろう」と言っても「あと一駅だけお願いします」と言われた。

歩いていたら、何かのミュージアムを見つけた。入口には「入場無料」とあり、貧乏性の私たちは無料だから迷わずその施設に入ってみた。

なぜか入口で引き返す人も多かった。

入ってから気づいた。それは体験型のコンテンポラリーアート会場のようで、入ったらみんなが静止していた。

「あ、苦手なやつだ。ナチョ帰ろう」と言おうかと思ったら、ナチョは既にこの世界に陶酔していた。

この会場は入った瞬間から体験型が始まっており、会話を禁止されている。この会場内は真ん中に向かって静止しなければならない。

「だるまさんがころんだ」のように、一瞬だけ会場の真ん中に向かってゆっくり動ける時間があり、その時間に私は逆方向の出口に向かってゆっくり逃げようかとしたが失敗した。ナチョとはいつの間にかはぐれた。

近くに「アイム ソー ファッキン スケアー」と言っているイギリス人がいた。現地の人でも間違えるくらいなら仕方ない。

うまく説明ができないけど、集団で「無」を共有する催しらしい。怖いものではないことはわかる催しで「集団の中にいるけれど何も考えるな、目をつむってゆっくり息をしろ。」と金髪の美人の主に言われてそうするしかない空間に仕上がっていた。少し「禅」のように感じた。

金髪の美人の主が一人一人の息を確認しにくる。彼女から「OK」が出ないと彼女から解放されない。

私はビビっており「無」がうまくできなかった。

「目を瞑って深く息をして。迷いを捨てて、何も考えないで。息だけに集中して、大丈夫よ。」というようなことを優しく呟かれ、その後ハグをしてくれてやっとOKが出た。私はかなり時間がかかってしまったが、この間一人残らずその人のためにみんなが待つこともこのアートの一部らしい。

たくさんの異なる人種の人が自分を待つことは全く悪い気はしなかった。

ナチョはこういうことは得意中の得意らしく、もうすでに第二会場に移動していた。第二会場は「みんなで好きなだけ寝る。」という謎の部屋で、ナチョは既に爆睡していた。「ナチョ帰ろう」と起こしたが「わかりました」と言ってまた寝てしまったので一人で施設内を探検してみた。

ナチョが起きてから、さすがに電車に乗ると思い地下鉄に向かっていたら、階段の入口で「あと一駅歩こう」と言いだしたので「嫌だ」とお断りして、が〜まるちょば風に階段の奥に消えてやった。

でも本当の目的よりも、こんなことをものすごく覚えているのは何故なんでしょう。

↓ Amazon musicで「スペイン人」という曲を見つけました。ちなみに「フランス人」も素敵でした。ページに飛べます。