久しぶりに金沢の観光用周遊バスに乗ってみた。
東茶屋街は交通アクセスがやや難しいため、たまに通勤でもこの周遊バスを使う。
バス停でバスを待っていたら、高齢女性がやってきた。目があったので、会釈をしてみたら会釈を返してくれた。
すぐに「何、あなたお腹痛いわけ?」と聞かれた。その日はお腹が痛いので自転車ではなくバスを使おうとしていた。
私は無意識にバス停でお腹をさすっていたらしい。
「ああ、そうなんですよ、私今、丁度そういう感じの年齢なんですよね。」と大先輩の女性だから何かを察して助言でもくれないかな。と思い、返してみたら全く察せられなかった。
「え?何言ってんの?」と言われた。多分これが長生きの秘訣だわ。と思った。
続けて「胃薬を持ってたかしら」と言い出したけれど、知らない人にもらった薬は絶対飲まない。
「要らないです。」と答えてから、
「あなた旅行者なの?」と聞かれた。パソコンを持ち歩いていて大きいリュックだからか、バスではそう思われているのかもしれない。
「私、旅行者じゃないです」と答えて、彼女も「うふふ、私もよ」と答える。
「うふふ、私はね・・米寿よ。」聞いていないのに米寿アピールをしてきた。正直、古希くらいだと思っていた。
「あっ、、、素敵なお召し物ですね。」と米寿アピールを真正面から無視してみた。
「これは少し前に行った東南アジアで買ったのよ!」とさらに元気になっていた。彼女は米寿とは思えないくらいオシャレだった。柄物のシャツに、綺麗な白髪、丸いレンズの金の眼鏡、ベレー帽もかぶっている。金沢なのに標準語で話す。
バスが来てから、私が譲るべきなのに「先に乗りなさい」と言われ先に乗った。彼女は何故かバスも隣の席に座る。バスでは一言も発さない。時期も時期だからかわからないが、これが彼女なりの腹痛の女への優しさなのかもしれない。
彼女は、橋場町で「お先よ」とだけ発して、とんでもない速さで去って行きました。
それは米寿の足腰とは思えない速さでした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
これ、夏でもたまに貼ります。