カテゴリー

東山のこっちの方

東山界隈を、朝早く、または夜遅くに歩くことがあまりなかった。

早朝は大通りを走っている人が多い。路地には猫が多い。近くに居ても特に逃げない。朝はむしろ近づいてくる気すらする。

夜は、同じ時間に同じ場所から人が出てくる。一人一人の時間は夜の方が面白そうだと思う。

夜遅く、家が町屋だからか、みんな自宅前の道路で何かしていることに気づいた。ゴルフの素振り練習をしている人や、おっきいカメラを持っている人も見た。この町の昼は、偽物なんじゃないかと思う。

面白いのは、夜の時間が始まってからなんじゃないかと思う。

あっちの方では観光の人が帰ると、夜のお客さん用にタクシーが現れる。こっちの方では、近くの銭湯に行って帰ってきた人たちが「お風呂いってきたん?」「おやすみ」と路地で言い合ったりする。

とても良いな。と思うけれど、近所の人に聞いたら、ここら辺は住みにくいらしい。

当たり前のようにコンビニがない。お昼ご飯のお弁当を忘れると、歩いて近所の商店に行くか、自転車でちょっと遠くのスーパーに行くしかない。近所の商店が私はお気に入りです。

必要なものはスーパーに行った方が手に入るけど、一つ一つの会話がおかしいからあえて商店に行きます。

例えば炭酸水を買った時、「あの、お客さん、これ味ついてないけど、いいの?」と心配してもらえたり、

近所のおばあちゃんが「コーンビーフやっと見つけたわ。」と言ってベーコンを握っていたりする。

ああ、間違えてる。

その商店にお昼に行くと、熱いとうもろこしが一本丸ごと売られている。買ってみたら「これはちんちんです。」と言われた。

ん?と思ったら「袋を別にしなきゃいけない。」と店員さんは独り言のように言っていた。「熱いです」って言えばいいのに。

次の場所でもいいところを見つけよう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。